ホーム » 作品 » 【夏への扉】猫とタイムマシンが織りなす名作SF|ハインラインの傑作小説を解説

【夏への扉】猫とタイムマシンが織りなす名作SF|ハインラインの傑作小説を解説


本文中にアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。
表示が乱れた場合は再ロードをお試しください。

タイムマシン、冷凍睡眠、そして猫。
一見するとSF要素ばかりの小説『夏への扉』ですが、その本質は“人間らしさ”に溢れたヒューマンドラマです。
裏切られ、すべてを失った主人公が、過去と未来を行き来しながら希望を取り戻していく姿に、何度読んでも心を動かされます。
本記事では、ハインラインの代表作『夏への扉』がなぜ今も世界中で愛されているのか、初心者にもわかりやすくその魅力を解説します。

My Score

知名度

分かりやすさ

文学性

あらすじ

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。
そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。
親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。
さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか

作品のポイント

① タイムトラベル×復讐×恋愛の“全部入り”構成

『夏への扉』は、タイムトラベルによって人生をやり直す物語。
騙され、すべてを失った主人公が、冷凍睡眠とタイムマシンで未来に賭け、理不尽な世界にリベンジするという展開は、読んでいてスカッとします。
さらに、ただの復讐劇ではなく、そこに「純粋な愛」と「夢の実現」が加わることで、読後に優しさが残るのも特徴です。

② 読みやすく、誰でも感情移入できる

ハインラインの中では比較的平易な文体で書かれており、SF初心者でも読みやすい作品です。
主人公の一人称で進むため心理描写も丁寧で、科学や未来の設定が苦手でも自然と物語に引き込まれます。

③ 猫・ピートの存在がかわいすぎる

主人公の愛猫ピートは、この小説の“第二の主人公”。
「夏への扉を探し続ける猫」というモチーフは、本作のタイトルにもつながっており、心を温めてくれます。
猫好きな読者にとっては間違いなく名作。

④ 希望と未来が感じられるラスト

辛い過去や裏切りから始まった物語が、希望に満ちた“未来”へとたどり着くラストには、感動する読者も多数。
「やり直したい」と思ったとき、人は未来に向かって進める――そんなメッセージが心に残ります。

作品情報

項目内容
出版年1956年(米国)、1970年(日本語訳:早川書房より刊行)
出版社Doubleday(英語初版)/早川書房(ハヤカワ文庫SF)
大まかな分類SF小説、タイムトラベル、ロマンス、ヒューマンドラマ

作者

ロバート・A・ハインラインは、アメリカを代表するSF作家のひとりで、「現代SFの父」とも称される伝説的な存在です。1907年にミズーリ州で生まれ、1988年にこの世を去るまで、数多くの革新的なSF小説を世に送り出しました。

アシモフ、クラークと並び「SF界の三巨頭(ビッグスリー)」と呼ばれ、彼の作品は今なお世界中で読み継がれています。

特筆すべきは以下の点です。

  • ヒューゴー賞を4度も受賞(SF界の最高賞)
  • 「書くたびにSFの常識を塗り替える」と言われる革新性
項目内容
出生地・年アメリカ・ミズーリ州、1907年生まれ – 1988年没
代表作・他の作品『異星の客(Stranger in a Strange Land)』
『宇宙の戦士(Starship Troopers)』
『月は無慈悲な夜の女王』
受賞歴<ul><li>ヒューゴー賞4回受賞(長編部門)</li><li>ネビュラ賞・プロメテウス賞など多数</li></ul>
愛称“SF界の3巨頭の1人”(他はアシモフ、クラーク)、「SFの祖父」「ハインライン御大」など

映像化も

日本で人気ということもあって、実写映画化されています。

私も映画館で見たのですが、普通に違和感なく楽しめました。

  • 公開日:​2021年6月25日
  • 上映時間:​118分
  • 監督:​三木孝浩(代表作:『フォルトゥナの瞳』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』)

公開初週の興行成績は、全国316館での上映にもかかわらず、動員数は約4万3,688人、興行収入は約5,831万円と、期待されたほどの成果は上げられなかったようです。​

主なキャスト

  • 山﨑賢人:​高倉宗一郎(主人公の科学者)
  • 清原果耶:​璃子(宗一郎の恩人の娘)​

映画の特徴と原作との違い

  • 舞台設定:​原作のアメリカから日本(1995年と2025年の東京)に変更されています。​

ネットの評価

日本国内ではSFオールタイムベストの上位(トップ5位)に必ず選ばれる超人気作で、ハインラインの代表作とされている。ただ、本国アメリカではそれほど高く評価されていない、というのが面白い。
SFの古典『夏への扉』題名の爽やかさとは裏腹に冒頭、ドロドロした愛憎劇が展開されびっくり。
有名なSF作品なので期待して読みましたがとにかくおもしろかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です