- 2024/05/11(土)
[ゲーミフィケーション]なぜゲームは面白いのか、人生はつまらないのか
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「なぜゲームは面白いのに、人生はときどき退屈に感じるのか」。本記事では、その差を埋める鍵としてゲーミフィケーションを取り上げます。ゲーミフィケーションとは、ゲームの仕組みや心理を非ゲーム領域に持ち込み、行動を前に進める設計のことです。2008年に用語が登場し、2010年ごろから普及しました。初期はポイント・バッジ・ランキングといった“報酬”中心でしたが、近年は進捗の可視化や即時フィードバック、物語性、協力設計へと焦点が移っています。
本記事では、歴史・研究の系譜から実践例(工場現場の可視化や Habitica など)までを概観しつつ、私自身の視点として「目的/達成度の可視化/爽快感」の三要素を提案します。その上で、現実に“爽快感”を持ち込む難しさ(ウロボロス問題)に向き合い、道具の手触りを上げる、作業を細切れにする、必要最小限の報酬といった現実的な解決策をまとめます。
ゲーミフィケーションとは
ゲームの仕組みを非ゲーム領域に取り入れて、人の行動を前に進める設計のこと。
ポイント・バッジ・ランキングだけでなく、達成感・進行感・物語性など“遊びの心理”を活用します。
ゲーミフィケーションの歴史
語としては2008年にコンピューターソフトウェアの文脈でオンラインに登場し、2010年にかけて広く普及しました。初期にはポイントやバッジ、ランキングといったソーシャル/報酬の要素をソフトウェアに組み込む、わりと狭い意味で語られることが多かったのですが、実はそれ以前から学習支援や科学可視化などの領域では、ゲームの要素を借用する取り組みが一般的に存在していました。
学術面では、Deterding らが人間—コンピューター相互作用(HCI)の観点から、ゲーム由来の要素を動機づけやインターフェース設計に活用する流れを整理しています。また、Nelson はソ連の社会主義競争やアメリカの「職場での楽しさ」といった歴史的潮流との関連を指摘し、Fuchs は“遊び的インターフェース”が新しいドライバーになり得ると論じています。シミュレーションの文脈とも接続しており、たとえば SimCity のデザイナーであるウィル・ライトが2013年のGsummitで基調講演を務めるなど、研究と実務が往還してきました。
産業界では2007年にBunchballがテレビ番組コミュニティでゲームメカニクスをサービスとして提供し、2010年にはBadgevilleが立ち上がって早期に大型の資金調達を達成するなど、ベンチャー投資家の関心が一気に高まりました。この頃から、資金調達の場で「ゲームデザイン」を持ち出す企業が増え、ゲーミフィケーションは単発の仕掛けではなく事業設計のキーワードとして扱われるようになります。公共分野でも2012年前後には米国エネルギー省が省エネ行動の実証に関与し、教育・行動変容の文脈へ波及しました。
実践面では、単なるポイントやランキングの付加にとどまらず、進捗の可視化、即時フィードバック、協力や物語性の設計へと焦点が移っています。たとえば生産現場の単純作業にゲーム要素を取り入れ、品質や安全の注意点を見える化し、短いチャレンジとして回す事例はその好例です。作業者が自分の上達や影響を実感できる設計は、モチベーションの持続に寄与します。
総じて、ゲーミフィケーションは2008年の用語誕生から2010年代の普及を経て、現在は「報酬で釣る」段階を抜け、行動設計と体験設計を組み合わせる成熟期に入っていると言えます。教育、健康、公共、製造といった領域での活用は今後も増えていく見込みです。
実際の応用例
最近見た記事だと、工場の単純作業に用いられるような例を見ました。
REAL FOCUS|生産現場にゲーム要素|日昌電気制御株式会社
これからも増えてきそうな感じはあります。
私がはまっていたHabiticaもこれに該当します。
スロットなどのギャンブルは当てはまるのか微妙な気もします。あれは単純にお金という別の心理状態を利用しているような気がするので今回は別とします。
ゲーム化するための要素
ゲーム化する要素について考えてみます。
一般的な要素
wikipediaに載っていた一般的によく見るようなものをまとめます。
ポイント
行動の結果を数値化して即時に返す仕組みです。経験値(XP)、交換可能ポイント、評判ポイントなど目的に応じた種類があります。最大の役割はフィードバックで、ユーザーが「今どれだけ前進したか」を瞬時に理解できます。
バッジ
達成の視覚的な証明です。一定条件の達成で付与され、節目をわかりやすく示します。希少なバッジは所属意識や誇りを生み、行動の選択に影響を与えます。こちらも本質はフィードバックと意味づけにあります。
リーダーボード
相対的な成果で順位づけする仕組みです。近接した競争(次の順位まであと数点など)のときにモチベーションが上がりやすい一方、差が開きすぎると逆効果になりやすいです。利用する際は、同程度の実力層で括るなどの設計が有効です。
パフォーマンスグラフ
他者との比較ではなく、自分の推移を可視化します。一定期間の伸びや改善点が見え、習得志向(上達に目を向ける姿勢)を促します。学習や技能向上の文脈で特に効果的です。
意味のあるストーリー
活動に物語的な文脈を与えます。単なるポイント集めを超えて、「なぜそれをやるのか」を感じさせます。現実の行動にもオーバーレイ可能で、退屈な作業を没入的な体験へ変えやすくなります。
アバター
ユーザーを表す視覚的アイデンティティです。自己投影やコミュニティ感を生み、継続や関与を支えます。単純なアイコンから凝った3D表現まで形は問いませんが、本人だと識別できることが重要です。
チームメイト
協力や軽い競争を生む仕組みです。共通目標に向かう小さなチームを設けると、互いの支援や称賛が生まれ、学習や定着に良い影響を与えます。競争と協力のバランスがカギになります。
人生ドラクエ化マニュアルより
何か参考になるような書籍はないかと調べていると。『人生ドラクエ化マニュアル』というものがありました。
これは著者が元スクエニの社員の方らしく、ドラクエを1から9までプレイしている私にとっても面白そうだったので読んでみました。
その本には、人生をドラクエ化するために以下の三点が挙げられていました。
・目的
・ルール
・敵
確かに、ドラクエにはストーリー上の目的があり、敵が出現する。更にコマンドや死んだらお金が半分になるといったルールが存在します。
自分的な要素
ドラクエに限らず、他のゲームでも当てはまるように要素を拡張したらどうなるだろうか。
その本や自分の体験を通して、自分なりに以下の三点にまとめてみた。
・目的
・達成度の可視化
・爽快感
目的はどのゲームにもある。これは同意しました。
次に達成度の可視化というものをあげてみた。例えば、世界一売れているゲームであるマインクラフトは、自由な世界でありながらも鉱物を手に入れる、ドラゴンを倒すという実績機能が存在しています。もっと単純なテトリスのようなゲームにも得点という、数値化された達成度が表示されている。この項目は数値化と置き換えてもいいかもしれない。
最後の一項目は非常に悩みました。例えば、ドラクエ化マニュアルでは敵という項目があるが、経営シミュレータ系のゲームは敵が出てこなくても面白い。
報酬という案も考えたが、マリオとかは私たちは何か報酬を受け取っているのだろうか。
ということで、最後は爽快感ということにした。昔RTAプレイヤーの人を見ている時期があったのだが、正直何が楽しいのだろうと考えていた。その人がいうには、ただ動かしているだけで楽しいということを言っていたのが非常に印象に残っています。
爽快感について
前項で爽快感というものをあげました。
これについて考えているとある問題点が浮かんできました。
ゲームにおける爽快感
ゲームにおける爽快感はゲームプログラマーによって作られています。
例えば『F-zero』だと車の速度、『ぷよぷよ』とかの連鎖の効果音とかもこれに当てはまるかもしれません。
現実における爽快感
問題はこれを現実に当てはめようと思った時です。
その前の、目的や可視化は意外と簡単にできるように思います。
例えば英語の勉強に置き換えてみます。TOEIC700点という目標を立て、可視化として現在の点数だったり、勉強の継続日数を記録したりします。しかし、肝心の勉強はどうでしょうか。
勉強自体には効果音がなったり、爽快感を感じるような演出はないのです。(それをサポートするような教材は存在する)
仕事においても同様で、目標立てて、TODOリストで進捗を表示します。しかし、肝心の仕事そのものについては自分でどうにかしないといけないのです。
つまり、ゲーム的なフレームワークを作っても、そのもの自体をゲームとしてデザインするという循環的な、ウロボロス的な問題が発生しました。
おなじ作業が連続する場合においてはどうにかできるかもしれませんが、日夜変化する状況を楽しむためにゲームデザイン的思考をし続けるということはまた別の問題のような気もします。
解決案
ではどうするか。ここは個人的にまだ完璧な回答ではないので、後で直すかもしれません。
・報酬でつる
一つ目の案は報酬で釣るというものです。
例えば終わったらお菓子を食べれるとか、SNSを見れるとかです。
これは効果がありますが、何となく好きではないやり方です。
・爽快感が出るような道具を使う
二つ目の案としては道具を用いることです。
例えばクリック感がいいキーボードを使うであるとか、書き心地がいいペンを使うとかです。
道具にこだわることで作業の爽快感を高めることができそうです。
記事を書いていて、私は結構この手法が好きだと感じました。

仕事ではなく、道具の使いやすさというゲームに持っていけるのか

作業効率化厨の気持ちがわかるね
・細切れにする
3つ目はやらなければいけないことを細切れにすることです。
細切れにすることで、todoリストを消すという作業を電子でも紙でも短時間に得ることができます。その結果、一歩一歩進んでいる感じがあって、達成感や爽快感が増すのではないかと考えました。
まとめ
- 歴史的には2008年の用語登場、2010年代の普及を経て、現在は**体験設計(可視化・手応え・物語・協力)**が主流になっています。
- 代表的なゲーム要素(ポイント/バッジ/リーダーボード/パフォーマンスグラフ/ストーリー/アバター/チームメイト)は、文脈に応じて組み合わせると効果が高まります。
- 私見としての三要素は目的・達成度の可視化・爽快感です。特に“爽快感”は報酬ではなく即時フィードバックの質と捉えると、現実に実装しやすくなります。
- 現実では“演出”が自動で降ってこないため、道具の快適さ(入力遅延や書き心地)、粒度調整(細切れ化による頻繁な達成)、必要最小限の外的報酬を使って、手応えを自前で設計します。

