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星新一先生から学ぶアイデア術・発想術


一時期、アイデアの発想術系の本や星新一先生のエッセイをずっと読んでいて、自分なりにアイデアはどうすれば生まれるのかを考えてみました。

星新一とは

名前を聞いたこともないという人は少ないと思いますが、一応。

東京大学を卒業し、1001篇のショートショートを書いた日本SF界の神様的な存在です。

数が多いだけではなく、その質の高さや未来を予想した秀逸なアイデアでいつ読んでも古臭さを感じさせません。

親は「東洋の製薬王」ともいわれる星一で星薬科大学の創始者でもあります。

そんな星先生の発想術を考察していきたいと思います。

知識の組み合わせについて

星先生の書籍から

星先生は執筆の時、アイデアにつまると以下のようにアイデアを出していたといいます。

①思いついた単語をいくつもメモに書く

②バラバラにし、よくかき混ぜる

③無作為に二つのメモを組み合わせる

これは『きまぐれ博物館』に載っています。

さらに、星先生は「きまぐれ学問所」の中で以下のように述べています。

この本は、発想術関連の本について、星先生がコメントしている項目があります。

面白いので興味がある方はぜひ!

アシモフは『空想天文学入門』の中で、SF作家は発想をどこから得ているかについて答えている。

「知識の断片を多く持ち、それを巧みに組み合わせること」

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それについて、星先生は

正しくは、断片でなく、一連の知識を多く知っているということだ。

と述べている。

つまり、「単語」として知識の断片を持っているだけではだめで、そのバックグラウンドも知っていることが大事ということだと思います。

アシモフのエッセイから

それに関連して、以下のリンクはアイザック・アシモフの創造性に関するエッセイです。

Isaac Asimov Asks, “How Do People Get New Ideas?” | MIT Technology Review

アイザック・アシモフを知らない方に簡単に紹介すると、海外の「SF御三家」と呼ばれています。

また、ロボットは人間に危害を加えてはいけないなどの「ロボット工学三原則」の提案者でもあります。

このワードはSFはもちろん、色々な作品に登場するので聞いたことある人も多いのではないでしょうか。

さらに、生化学者として、大学教授を務めていました。

著作は500冊を超えるといわれています。

つまり、星先生同様のスーパーアイデアマンと言えます。

Obviously, then, what is needed is not only people with a good background in a particular field, but also people capable of making a connection between item 1 and item 2 which might not ordinarily seem connected.

したがって、必要とされているのは、特定の分野で優れた背景を持つ人材だけではなく、通常は結びつかないように思われる項目 1 と項目 2 を結び付けることができる人材であることは明らかです。

これは、

①ダーウィンが植物や動物が場所ごとにどのように変化するかを研究した結果

②マルサスの「人口論」を読んだ結果、人口過剰と淘汰という概念

という①と②の結びつきにより、歴史的な発見につながったことより、述べています。

つまり、「結びつける力」が大事なんだとのベています。

ここで、ジェームズ・W・ヤングの『アイデアのつくり方』という書籍と『思考の整理学』という書籍からも引用します。

この二つはたぶん、アイデア関連の本で一番有名な書籍だと思います。

アイデアのつくり方から

この書籍は非常に薄い本で1時間しないで読めます。

本の半分は解説なので、実質60ページくらいです。

著者は広告代理店で務めていた方らしいです。

その本の中で以下のように述べています。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということである

これは星先生たちと同じ意見ですね。

この組み合わせのために、まず資料の収集が大事だと述べています。

そして、その資料は2種類あり、一つ目は「特殊資料」、二つ目は「一般資料」です。

①特殊資料

この本で紹介されている特殊資料の例は、広告だと、製品とそれを売りたいと想定する人々についての資料だとされています。

私はこれはつまり、自分の専門の知識のことだと考えています。

車屋だと車に関連すること、ダーウィンの例だと、生物の知識とかになるのではないのでしょうか。

②一般資料

これは一般知識です。

本ではエジプトの埋葬習慣やモダンアートと紹介されています。

ダーウィンの例だと、マルサスの「人口論」にあたるのでしょうか。

つまり、自分の専門分野や関わる分野とは全く異なる分野の知識のことです。

書籍では、その知識の収集には3インチ×5インチのカードを利用した、カード索引法をおすすめしています。

日本だと情報カード、海外だとインデックスカードと呼ばれている物です。

これについては、以前に他の書籍から自分なりに使用法を模索した記事があるので。興味があれば参考にしてください。

そして、この資料を組み合わせて考えるわけです。

思考の整理学から

この本は、東大・京大で10年で一番読まれた本と言いう帯がついていたので売れているのだと思います。

この本では以下のように説明されています。

文学研究ならまず作品を読む。……。

くりかえし心打たれるとこがあれば、それは重要である。わからない謎のような箇所が再三あらわれれば、それも注意を要する。

こういう部分が素材である。

ときには週刊誌を読んでいても、参考になることにぶつかることがある。他人と雑談していて、思いがけないヒントが浮かんでくることもある。………。

このヒント、アイディアがビール作りなら発酵元に当たる。………。

アルコールに変化させるきっかけになるものを加えてやる必要がある。これは素材の麦と同類のものではいけない。

つまり、専門的な知識が素材であり、日常のふとした知識が発酵元となってアイデアが生まれるということです。

今までのものと矛盾がないですね。

ぼーっとする

これは自分の言葉ですが、ふざけているわけではないです。

色々読んでいくと、この「ぼーっとする」ことが重要であることがわかってきました。

星先生は『きまぐれ学問所』の中で以下のように述べている。

異質なものの組み合わせといっても、その大部分は無意識の中でおこなわれる。

そこから姿をだしたものを、ものになるかどうかみきわめる。

『アイデアのつくり方』では以下のように述べている。

ここですべきことは、問題を無意識の心に移し諸君が眠っている間にそれが勝手にはたらくのにまかせておくということのようである。

『思考の整理学』では以下のように述べている。

それでは、アイディアと素材さえあれば、すぐ発酵するか、ビールができるのか、というと、そうではない。

これをしばらくそっとしておく必要がある。

つまり、組み合わせは意識的な作業、それ以上は無意識に頼ることが大事だということです。

科学では、浮力をひらめいたアルキメデスはお風呂の中で、ベンゼン環の構造を発表したケクレは夢の中で、アインシュタインの相対性理論も夢の中でインスピレーションを得たみたいな感じだったと思います。

多分ですが、ぽっと思いついたわけではなく、考え続けた末に、このようなぼーっとしたリラックスしたときに結びついたのだと考えます。

現代では、ぼーっとする時間がスマホに置き換えられてしまっているのでこれはよくないなと考えました。

個人的デジタルデトックスのすすめも書こうと思っているのですが、いまいち文章がまとまりません。

話がそれましたが、無意識の時間が大切ということですね。

まとめ

アイデアの発想については組み合わせと無意識の時間が必要である。

組み合わせについては、アイデアのもととなる専門知識と、全く関係のない一般知識を集め、組み合わせる。

勉強だけじゃだめだよと言われる所以が少しわかった気がします。

色々な経験により得られる知識や友達とのおしゃべりからくる突飛な知識が酵素として重要なわけです。

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