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[きまぐれ学問所]星新一の読書遍歴から学ぶ


SFだけじゃない。エスキモーやフランクリン、李白まで、星新一の読んだ本の感想から、様々なことが学べる一冊。面白いと思ったところをかいつまみながら紹介します。

書籍情報

本を読むのは楽しい。乱読して、片端から忘れていくのも楽しいけれど、テーマ別に集中して読めば、もっと楽しい。頭の中でまとまって、会話のネタにも不自由しません。ホシ式学問術の成果、ご一緒にどうぞ。

発行日:2020/4/24(復刊)

ページ数:242ページ

ジプシーとは

この章は作者が興味をもったジプシーについて読んだ本がまとめられている。

ジプシーとはヨーロッパに散在する少数民族らしいです。

正直あまり日本では聞くことがないような気もするのですが、色々と歴史的に差別されたり社会問題になっているようです。

ジプシーは過去を記録しないなど、本当かウソかわからないようなことを知れて面白い。

『文章読本』を読んで

この章では文章読本に分類される本について書かれている。

谷崎潤一郎や三島由紀夫などが出版した文章読本の内容を比較している。

これらの作者、人並み外れた博識家なのだ。大変な読書家であり、だからこそ他の作家の文を自在に引用できる。つまり、そうではなくて、うまい文章は書けない。こう言ってしまっては、身もふたもないが。

小説家になにはたくさん小説を読む、映画監督になるにはたくさん映画を見ることが大事なのだろうか。

相関はありそうだが、それでお金が稼げるかはまた別な話なのだろう。映画監督を目指す場合は撮らせてもらうまでが大変そうだしね。

結論。文は人なりとの言葉があるが、正しくは、文は人名なり

これは、面白さではなく知名度がないと読んでもらえないということを述べている文章である。

この話は現在でも聞いたことはあるが、今に始まった話ではないのかと思った。

とりあえず、一作だ。ていねいに仕上げる。量産なんて考えるな。数は結果である。私だっていつも目の前の一作しか考えていなかった。

この考え方はどの分野についてもいえるだろう。

1001篇のショートショートを書き上げた人の言葉は重い。

凧のフランクリン

この章ではベンジャミン・フランクリンについて書かれている。

フランクリンの人生が著者によってまとめられていて面白く学べる。

あまり調べる機会もない、フランクリンの功績や考えの断片を知ることができる。

ファシスト人物伝

この章では歴史上のファシスト的な人物について述べている。

フランコ将軍やペロン、サラザールなど、私は歴史にあまり詳しくないが楽しく読むことができた。

エスキモーとそのむこう

この章ではエスキモーについて述べられている。

ページ数も20ページ越えで挙げている参考書の数も多い。

正直エスキモーについて、私は特に興味を持ったことはない。星新一先生の知的好奇心の強さと幅には感服する。

発想法、あれこれ

この章では、発想法の本について述べている。

しかし、アイデアは変革の意欲なしに発生してくるものではない。これなくしては、天からのひらめきだってよけて通る。

「知識の断片を多く持ち、それを巧みに合わせること」

もっともな気がし、それを引用したこともある。しかし、実際に小説を作ってみて、しっくりしない感じは残った。

私もどこかでこのアシモフの引用の、組み合わせるという考えが星新一先生の発想法の一つだと見た気がするので、この文章をみたとき驚いた。

このことについては以下のように答えている。

正しくは、断片でなく、一連の知識を多く知っているということだ。

アシモフレベルだと断片も我々の断片と大きさがまるで違いそうな気がするが、もっともな考えなのかもしれない。

ぽつんと一つの出来事を知っていいるだけでなく、前後の文脈までしっかり知っていないと、「知った」ことにはならないということであろう。

どちらにせよたくさん勉強することには変わりない…。

その他にも切迫感(締め切り)が大切だとも述べている。

他にも40ページほど、色々な本を引用して意見を述べている。

何冊も発想法みたいな本を買うくらいなら、この章を立ち読みした方がいいかもしれない。

まとめ

この本では様々な分野の本が星先生によって語られている。

やはり、アイデアは天から降ってくるものではなく、広く知的好奇心を持って調べていることがよくわかった。

途中で疲れたので全ての章をまとめたわけではない。

気になった章や他の章もしっかり読みたい方はぜひ購入してみてください。

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