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[セラフィム2億6661万3336の翼]押井守×今敏の奇跡の漫画


有名な映画監督でもある、押井守監督と今敏監督が手を組んだ未完の大作、「セラフィム2億6661万3336の翼」の作品紹介をします。

高い画力と難解なテーマが合わさった、名作中の名作です。

主要人物

メルキオル

WHOに無理やり任命された審問官。ユーラシアの深奥部の調査を命令される

バルタザル

メルキオルと共に旅をする老人。天使病について研究する研究者。

セラ

この物語の鍵を握る少女

ガスパル

押井監督の作品によく出てくるバセットハウンド。しかし、犬なのに賢者に選ばれるのは何か秘密がある?。

あらすじ

物語は近未来21世紀初頭。

地球上のあちこちで、肩甲骨が翼状に変容し、幻覚におかされる天使病という死に至る病が蔓延してきた。その感染によって世界中の各国では旧来の秩序は崩壊。宗教、経済、軍事など、さまざまな問題もはらみ、人の心の不安がむき出しとなった世界--- すべてが異端の地となった世界を、その「発端」をさぐるため、謎の少女セラと二人の男・バスタザル、メルキオル、そしてバセットハウンドのガスパルは、旅を続けていた。目指すは新疆ウイグル自治区南部にある中国最大の砂漠、タクラマカン砂漠---。

WHO、審問官、賢者

現実にある組織と名称は同じだが、漫画の中では最も権力を持っていると思われる機関。

物語冒頭、聖書の引用やチャールズ・ダーウィンなど意味深に描かれる。しかし、それらが具体的に何なのかは描かれていない。

天使病

背中からまるで天使のような羽根が生えてくる病気。今だ治療方法は見つかっておらず、世界中で人が死に続ける。

その恐怖から、中世の魔女狩りのように天使病のキャリアを持っている人を殺す集団もいる。

ガイアの夢

物語の中で何度か出てくるキーワード。それは何を意味するのか

セラの謎

物語の謎を握る少女。天使病を患った患者は彼女をみて「媽祖」とあがめる。

少女は天使病のキャリアを持ちながら、時が止まったように成長しない。ユーラシアの最奥についた時、彼女の時は動き出すのか。また、時が動き始めたとき何が起きるのか

セラを狙う組織

セラの体の秘密を研究すべく、彼女を手に入れようとする

作者

押井守監督

1951年生まれ、東京出身

甲殻機動隊やパトレイバーなどの劇場アニメを手掛ける

難解なテーマやディティールにこだわった演出などでカルト的人気があります。

今敏監督

1963年生まれ、北海道出身

2010年8月逝去。享年46歳

パーフェクトブルーやパプリカなどの劇場アニメを手掛ける。

「虚構と現実の混淆」という主題は今敏作品を象徴するキーワード。絵が正確ですごい。

作品情報

1994年5月号からアニメージュで連載が開始されました。

当時、ナウシカが完結し、次なるナウシカを生み出そうとして始まった作品です。

押井監督は20巻くらいになるという構想があったらしいです(物語が壮大過ぎて書ききれないと予想していた)。

しかし、押井監督と今監督の仲たがいによって連載は終了しました。

感想

天使・聖書・兵器・犬・鳥という押井作品でよく出てくるテーマがてんこ盛りの作品で、なおかつ今監督の画力によって紡ぎ出される世界観がマッチした紛れもない名作だと思います。

ファンタジーではなく、現実世界で起こりそうと感じさせる押井監督のディティールの設定はすごいです。

今監督の絵も全頁細かくて、建物や鳥、人物の表情など全部楽しめます。特に完全変異体のページはは息をのみました。

色々あったのだと思いますが、未完のまま終わるにはもったいない作品で、結末だけでも知りたいです。

ネットの評価

高密度な作画に裏付けられた、知的なアイディアが潤沢に鏤められた作品で、未完ということすら気にならない示唆に富んだ佳作だと思いました。
完結するには20巻ほどの密度と20年ほどの時間を想定していたという押井氏の言葉通り、物語は序章部分で終わることが、未完が残念な結末でありながら、それすら上手くまとめているので、充分、読み応えはある。
非常に緻密で、遠近感に狂いのない丁寧な絵。神秘的な病、激変する世界、膨大な知識に裏付けられた壮大な冒険譚。 喧嘩別れで休載になったのがすごくおしい。

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